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目次
情報公開について
BiDANでは記事内のソースである書籍、論文、美容研究家、管理栄養士、美容アドバイザーからの情報を一般開示しています。
知的財産となるこういった情報は社外秘にすることが一般的ですが、BiDANは「より多くの男性にわかりやすく美容情報を提供する」ことを理念としており、より多くの方々に美容情報を得ていただきたいと考えているため、一般公開をし、また法的範囲内での記事の引用を許可しています。
以下はデオドラントカテゴリーの記事の内容の情報源となります。
ワキガとは
「アポクリン腺の過剰分泌により腋窩(わき)から特有な臭いを発する状態。」
ワキガの原因
ワキガは汗腺の一つである「アポクリン腺」から分泌される脂肪分やタンパク質などの有機物が、皮膚上の「常在菌」によって分解されることで発生する臭いがワキガの正体です。
汗腺には「アポクリン腺」と「エクリン腺」の2種類があり、エクリン腺は皮膚下の比較的、浅い部分に存在しています。
エクリン腺は1ミリも満たない小さな汗腺で、皮膚の表面に広範囲で分布しており、手のひらと足の裏に最も多く存在します。
エクリン腺からでる汗は99%が水分で、ほとんど無臭となっています。
エクリン腺の働きは主に体温調整となっており、運動などで体温が上昇した際に汗を分泌して、体温を調整しています。
一方のアポクリン腺は特定の部位にしか存在していません。
「アポクリン汗腺ですが、これはワキの下・陰部・乳首の周囲・ヘソの周囲・耳の穴の中などの特定の部位にしか存在しません」
(北村,2011,p9)
特に脇の下にアポクリン腺が分布しており、思春期の頃から働きが活発になるとされています。
またアポクリン腺は毛穴(脂線)を通して、分泌されるため脂と混ざりやすくなっています。
アポクリン腺自体の役割はエクリン腺ほどまだ明確になっていませんが、フェロモン器官の名残りと考えられています。
「性的興奮によって活動が活発になることなどから、性的アピールを司る「フェロモン器官」の名残だと考えられています。私たち人間がもっと原始的で、自然に近い生活をしていた古代。その頃の私たちには他の生物と同じように、異性を呼び寄せるためのフェロモン器官があったと考えられています。独特のニオイを発散させることで異性を惹きつけ、子孫を残そうとしたのでしょう。そんな太古の名残が、このアポクリン汗腺なのではないかと考えられています。」
(北村,2011,p9-p10)
ワキガ体質かどうかは「アポクリン腺の数」「アポクリン腺の分布範囲」「アポクリン腺の活発度」によってきまってきます。
またアポクリン腺が存在する部位をうまく洗えていなかったり、不衛生な状態にしておくと常在菌が蔓延し、分解されやすくなり、臭いも発生しやすい状態となります。
ワキガに含まれる色素「リポフスチン」について
またアポクリン腺には「リポフスチン」という色素が含まれており、よくワキガの人のシャツは脇の部分だけ黄ばむといいますが、原因はアポクリン腺に含まれるリポフスチンという色素が原因となっています。
ワキガと耳垢の関係性
ワキガの人はよく耳垢が湿っているといいますが、これは上記の通り、耳の中にもアポクリン腺があることが原因とされています。
ワキガ体質の方は耳の中のアポクリン腺も活性化しているため、そのアポクリン腺から分泌される汗によって、耳垢が湿ってしまうのです。
また耳垢が黄ばむこともワキガ体質の方の特徴とされていますが、こちらもアポクリン腺があるため、その汗に含まれている「リポフスチン」が原因となっています。
ワキガと遺伝の関係性
医学上の定説的にはワキガは優勢遺伝とされています。
そのため両親がワキガの場合は80%の確率でワキガとなり、片方の親がワキガであれば50%の確率でワキガになるとされています。
ワキガと食生活の関係性
ワキガはアポクリン腺に含まれる脂質やたんぱく質が皮膚上の常在菌によって分解されることで、臭いが発生するため、普段の食生活が油っぽいもの動物性たんぱく質のものが中心であるとアポクリン腺に含まれる脂質濃度が高まることによって、においが強くなりやすくなることがあります。
ワキガの対策方法
ワキガの対策方法としては上記のワキガのメカニズムから以下の3つに分類されます。
①アポクリン腺を除去する
②アポクリン腺から分泌される汗を抑える
③皮膚上の常在菌に分解されない状態を作る
ワキガを完全に解決するという観点では①のアポクリン腺を除去するということしかありません。
デオドラントクリームで対策は可能か
デオドラントクリームには殺菌成分と制汗成分が主に配合されており、②の汗を抑えることと③の常在菌に分解されないように殺菌することが可能です。
しかし①のアポクリン腺が除去されることはないので、完治することは不可能です。
またデオドラントクリームを塗ったとしても、皮膚が濡れており、うまく付着しなかった場合やデオドラントクリームも正しいものを選ばなければそもそも改善することが不可能となっています。
主にデオドラントクリームに配合している殺菌成分と制汗成分は以下となっています。
・殺菌成分
イソプロピルメチルフェノール(シメン-5-オール)
・制汗成分
パラフェノールスルホン酸亜鉛
制汗スプレーによる対策は可能か
制汗スプレーには上記のパラフェノールスルホン酸亜鉛などの制汗成分が配合されており、アポクリン腺から分泌される汗を抑えることが期待できます。
しかし制汗スプレーは直接肌に触れないため、制汗成分が皮膚に付着できる量は限られており、クリームほどは期待ができません。
また香料の配合されているスプレーはワキガのにおいと混じってしまう危険性があります。
ボディソープで対策は可能か
体臭対策用のボディソープには殺菌成分が配合されており、皮膚上の常在菌を殺菌することが可能です。
しかしボディソープは流されてしまうため、殺菌成分は皮膚上に付着している状態ではなくなります。
一時的に身体についたにおいを落とすことには優れていますが、永続的な効果ではないことを認識しておきましょう。
サプリで対策は可能か
ワキガサプリは消臭成分や腸内環境を改善する成分が配合されており、身体の内側からにおいを改善する対策方法となっています。
メカニズム上では効果がありますが、
クリニックでの治療で対策は可能か
クリニックでの治療方法は以下になります。
①ボツリヌス製剤の注射(ボトックス)
②剪除法(皮弁法)
①ボツリヌス製剤の注射
一般的にはボトックス注射と呼ばれているもので、汗腺の働きを抑制し、汗の分泌を抑えることが可能です。
5分ほどで治療が完了し、数万円から受けることができるので、人気となっていますが、アポクリン腺自体を破壊しているわけではないため、効果としては約半年〜1年とされています。
「ボトックスというのは、ボツリヌス菌から抽出されたタンパク質の一種で、アセチルコリン分泌阻害のために一過性の筋肉麻痺を生じさせます。ボツリヌストキシン(リジェノックス)はKFDA(韓国食品医薬品安全庁)で認可され、その安全性はすでに確立しています。」出典:湘南美容外科
②剪除法(皮弁法)
脇に4~5cmの切開を入れ、皮膚を裏返して汗腺を直でハサミで切り取っていく方法です。
アポクリン腺を直接切除することができるため、基本的には永久にワキガを発生させないようにすることが可能です。
しかし剪除法は直に見ながらの切除となっており、切除できるのが80~90%とされています。
加齢臭とは
「年齢を重ねるにつれて発生する中高年特有の体臭」
加齢臭の原因
出典:加齢臭すっきり本舗
皮膚には皮膚の潤いを保つための皮脂を分泌する「皮脂腺」があり、年齢を重ねるとこの皮脂腺の中の「パルミトオレイン酸と呼ばれる脂肪酸が増加します。
また同時に脂質が酸化して発生する過酸化脂質という物質も増加します。
この脂肪酸と過酸化脂質が結びつくことにより、分解・酸化されることにより「ノネナール」という物質が発生します。
このノネナールこそが加齢臭の正体となっています。
加齢臭の臭いの種類
一般的に加齢臭は「ろうそく」「古い本」「ブルーチーズ」などと表現されています。
加齢臭を悪化させる要因
食生活の悪化
普段の食生活が高脂質、動物性たんぱく質(肉類、マヨネーズ、バター)の食べ物ばかりであると皮脂腺にも脂肪分が増加します。
分解される脂肪分が増えるとその分ノネナールも増加するため、加齢臭が強くなる原因にもなります。
運動不足
運動不足になると汗をかく頻度が大幅に減少するために、通常汗とともに流れていく皮脂も、毛穴に詰まった状態となってしまい、酸化されやすい状態となります。
ストレス
ストレスを感じていると身体内に活性酸素が増加します。
ノネナールは脂肪酸が過酸化脂質と結び付くことにより、発生するため、脂質が酸化することで発生する過酸化脂質がストレスよって発生した活性酸素によって増加するので、より一層加齢臭が発生しやすい状態となります。
また身体に抗酸化作用をもたらすSOD酵素という酵素も加齢とともに減少するため、ストレスと相まって加齢とともにより一層加齢臭が発生しやすい状態となってしまうのです。
たばこなども活性酸素を増加させる大きな要因となります。
※「活性酸素」とは
酸素よりも酸化力の強いのが活性酸素で、身体の健康に役立つ「善玉」と「悪玉」があります。善玉は殺菌や生理活性などの身体に良い影響を与える活性酸素で悪玉は酸化力が強くなりすぎて、無差別になんでも酸化させる活性酸素で細胞を傷つけます。
(太田,2015,p14)
加齢臭を予防する食生活
食生活の改善によって加齢臭予防するには活性酸素を抑制する食生活をすることが重要です。
特にビタミンEやビタミンC、カロチンには強い抗酸化作用があります。
若返りビタミンともよばれるビタミンEは油の酸化を防ぐ抗酸化作用があります。
ビタミンEは熱に弱い性質があるため、非加熱での摂取が推奨されます。
ビタミンCも強い抗酸化作用があり、また経皮吸収も可能であるため、加齢臭の気になるところにレモン汁を含ませたタオルで皮膚をマッサージするなどでも加齢臭を防ぐことが期待できます。
その他抗酸化物質としてはポリフェノールやベータカロチン、カテキン、イソフラボン、セサミノール(ごま)、ターメリック、わさび、生姜などがあります。
ビタミンEを多く含む食品
<野菜>
アスパラガス、アボガド、かぼちゃ、さつまいも、大根葉、たけのこ、ニラ、ほうれん草、春菊
<魚介類>
うなぎ、カレイ、鮭、サバ、サンマ、シシャモ、イクラ、ブリ、ホタテ、マグロ
<フルーツ>
キウイ、ブルーベリー、プルーン
<その他>
玄米、胚芽米、アーモンド、ピーナッツ、コーン油、菜種油、ひまわり油
ビタミンCを多く含む食品
<野菜>
パセリ、ブロッコリー、芽キャベツ、ししとう、ピーマン、小松菜、しそ葉、さやえんどう、あさつき、ちんげん菜、わけぎ、葉ネギ、ニラ、春菊、トマトなど
<フルーツ>
アセロラ、イチゴ、キウイ、甘柿、ネーブル、レモン、オレンジ、プリンスメロン、夏みかん、グレープフルーツ、はっさく、みかん
(五味,2011,p139)
足の臭いとは
「足の裏、甲、爪から発生する臭い」
足の臭いの原因
足の臭いの原因は「汗」「角質」「靴」の3つの言われています。
足の裏には汗腺が集中しており、体の中でも特に汗をかきやすい部位で背中や胸の5~10倍の汗腺が存在しており、1日にコップ約1杯分の汗が分泌されているとも言われています。
足にかいた汗は皮膚上の常在菌によって分解され、イソ吉草酸という酸性の脂肪酸が発生しますが、このイソ吉草酸という物質が足の臭いの原因となっています。
足の臭いが酸っぱいと感じるのは、イソ吉草酸が酸性の物質であることが理由となっています。
また足の裏はどの部分よりも「角質層」が厚くなっており、この表皮細胞が新陳代謝や摩擦などで剥がれ落ちることによって、大量の垢となり、この垢を餌にして常在菌が繁殖し、さらに皮脂腺からの分泌物が混じると余計に臭いが強くなります。
さらに日頃靴や靴下で長時間覆われており、密閉状態にあるため、靴の中の温度は上昇し、汗も蒸発しづらい状態となっているため、どんどん湿度が上がっていきます。また足が蒸れると角質層がはがれやすくなり、皮膚上の常在菌の栄養素ともなり、菌が非常に繁殖しやすい状態となってしまうのです。
足の臭いの対策方法
足の臭いの対策方法としては足自体の汗を止める制汗と蒸れを防止する方法、靴の消臭、足自体のケアの4つの方法が挙げられます。
足の制汗
制汗作用のあるクリームを足に塗ることで足から分泌される汗を抑えることが可能です。制汗成分としては「パラフェノールスルホン酸亜鉛」という成分が一般的で、ワキガクリームなどにも使用されています。
足の裏や指の間に塗り込むようにし、汗を抑えます。
また1日中靴を履いている日は、何度か靴を脱いで足を乾燥させたり、大量に汗をかいている場合は汗をふくなどすることも有効です。
足の蒸れの防止
足から分泌された汗を発汗させたり、吸収することによって足の蒸れを防止することができ、足の臭いを抑えることができます。
蒸れ防止の方法としては発汗性、吸水性、乾燥性に優れている綿100%の靴下を履く方法があります。
また吸汗性のあるインナーソールを靴に入れておくことで、蒸れを防止することが可能です。
靴の消臭、蒸れ防止
1日履いた靴は湿度が高い状態となっているため、靴の消臭、蒸れの防止が必要です。抗菌、消臭効果のあるスプレーをかけたり、乾燥剤を入れたりすることが有効です。
具体的には使用済みのカイロやお菓子に入っている乾燥剤をいれることで乾燥しやすい状態を作ることが可能です
足のケア
角質ケアや爪きりなどの足自体のケアも足の臭いの予防では重要です。
かかとがガサガサになっている方は適宜やすりで削ること、爪が伸びている方は適宜カットするようにしましょう。
また殺菌成分や消臭の配合された石鹸を使用して足を洗うことによって、皮膚上の常在菌を殺菌し、臭いを抑えることが可能です。
また爪の間や指の間は洗い忘れやすい箇所となっているので、洗い忘れのないようにする必要があります。
汗の臭いとは
「汗腺から分泌される汗を原因とした臭い」
汗の臭いの原因
ワキガはアポクリン腺から分泌される汗が皮膚上の常在菌によって分解されることで発生しますが、エクリン腺から分泌される汗も臭いの原因となることがあります。
一般的に汗の臭いの原因はエクリン腺から分泌される汗が原因となっており、エクリン腺は通常無臭、無味となっており、体臭の原因とはならないのですが、汗が乾燥しないまま、皮膚上の常在菌によって分解されることによってイソ吉草酸やアルデヒド系の臭い物質が発生し、体臭の原因となることがあります。
通常エクリン腺から分泌される汗は無臭ですが、「腸内環境の悪化」と「肝臓機能の低下」の2つの要因によって、臭いを発生しやすい汗にもなります。
腸内環境の悪化による体臭の変化
普段の食生活が肉食中心や添加物系のファーストフード、油ものなどの腸内の悪玉菌を増加させてしまう食生活を送っている方は体臭の発生しやすい腸内環境となっています。
悪玉菌が優位になると、未消化の内容物を分解し「スカトール」や「アンモニア」「硫化水素」などの臭いの原因となる物質を発生させます。
これらの悪臭物質は腸内でそのまま吸収され、血液に流れ込み汗腺や皮脂腺や口から放出され、その際に常在菌などによって分解されより強い臭いの原因となってしまいます。
肝臓機能の低下による体臭の変化
正常な肝臓であれば小腸に送られた栄養素を吸収しながら、臭いの原因となる物質を分解しながら排出していきます。
しかし肝臓機能が低下すると臭いの原因物質を分解できなくなってしまうため、そのまま血液に混じり、全身を巡っていきます。
これらの悪臭物質も皮脂腺や汗腺から分泌され、常在菌によって分解されることで体臭の原因となってしまいます。
すそわきが
「性器周辺から発生する臭い」
すそわきがの原因
ワキガの原因となるアポクリン腺は外陰部にも存在し、ワキガと同様のメカニズムで陰部からも独特な臭いを発生させることがあります。
一方、このワキガと同様のメカニズム以外での臭いの発生に関しても俗称ですそわきがと呼ばれています。
ワキガ以外のメカニズムとしてエクリン腺から分泌された汗が蒸れて発生する臭いや性病による臭いの発生などが原因として考えられます。
すそわきがの対策方法
ワキガの対策方法と同様にすそわきがの対策方法としては①〜③となります。
①アポクリン腺を除去する
②アポクリン腺から分泌される汗を抑える
③皮膚上の常在菌に分解されない状態を作る
電気凝固法
根本的な治療方法としては電気凝固法と呼ばれる陰茎の毛根に絶縁体を刺して通電し、アポクリン腺を凝固させてしまう治療法があります。
五味クリニック院長も電気凝固法での対策を著書に以下のように記載しています。
外陰部のアポクリン腺は、わきと違いすでに退化しているものが多く、当院での治療経験からいうと、2~3回の電気凝固である程度の成果を得ることが可能です。
(五味,2011,p120)
デオドラントクリーム
ワキガの対策方法としてもあげられているデオドラントクリームですが、すそわきがも臭いの原因は汗腺から分泌される汗が、皮膚上の常在菌に分解されて発生することが原因となっているため、制汗成分と殺菌成分の配合されたクリームを塗ることで、対策をすることは可能です。
また脇のワキガと異なり、陰部にはアポクリン腺自体も少ないため、デオドラントクリームでも十分対策することが可能です。
デオドラントソープ
ワキガ対策用の石鹸、ボディソープ同様に殺菌、消臭成分の配合されたものであればすそわきがのメカニズム上対策をすることが可能です。
歯の構造
出典:https://xn--n8jtfu00qnij.com/kouzou/
<エナメル質>
歯の表面部分であり、一番外側にある組織。人間の組織の中で最も硬い組織であり、鉄と同じくらいの固さがある。
歯に対する刺激から歯髄を守っている。
<象牙質>
エナメル質の内部に位置する歯の主要部分。もともと黄色がかった色をしている。エナメル質と同様に歯髄を守る役割がある。
<歯髄>
歯の中心部に流れている神経の中心部にある組織。象牙質の形成作用や栄養吸収作用、炎症などの外部刺激への防御作用などがある。
<セメント質>
歯根の象牙質の表面を覆っている組織で、歯根膜をつなぎとめている。
<歯根膜>
歯槽骨の緩衝材としての役割を持つ。
<歯槽骨>
歯を支えている骨のこと。
<歯肉>
歯茎のこと。歯根膜と同様に歯槽骨を守る役割を持っている。
ステインが付着する原因
ステインが歯に付着してしまう原因は主に飲食物とタバコと加齢の3種類が挙げられます。
飲食物
ステインを付着させる飲食物には大きく分けて2種類存在します。「着色性食品」と「着色補助食品」の2種類です。
着色性食品とは「その食品自体で歯を着色させる可能性のある食品のこと」を指します。それに対して、着色性補助食品とは、「単独では歯が着色しないが、着色性食品と同時摂取することで歯の着色を促進する食品」のことを指します。
着色性食品と着色補助食品の具体的な食品については以下の通りになっています。
(着色性食品)緑茶/ウーロン茶/コーヒー/赤ワイン/コーラ/ソース/ケチャップ/ブルーベリー/赤ブドウ/タバコ/人工着色料を含む食品/カレー/色の濃いうがい薬(着色性補助食品)アルコール飲料/スポーツドリンク/炭酸飲料/ほうれん草/青いバナナ/クエン酸/シュウ酸
タバコ
基本的に一本のタバコには5~15mgがほどであると言われています。
メビウスファミリー ⇒ タール:1~10mg
セブンスターファミリー ⇒ タール:1~14mg
ピースファミリー ⇒ タール:6~28mg
先ほどペリクルには粘着性があることについて紹介してきましたが、タバコに含まれているヤニも同様に粘着性があります。
喫煙することによって、タバコのヤニがペリクルに付着します。どちらも粘着性があるので、一度結合すると頑固に結びついてしまいます。通常の歯磨きでは落とすことが難しく、磨き残しが生じます。
その上にペリクルが再コーティングされることでステインを除去するのが困難になってしまうのです。
加齢や遺伝
エナメル質の下には象牙質があります。
硬組織の無機成分であるハイドロキシアパタイトが70%で、残りはコラーゲンなどの軟組織となっています。
象牙質はエナメル質よりもやわらかい(モース硬度は5~6)が、弾力性があるので表面にあるもろいエナメル質の破折を防ぐ柔軟性を持ちます。
出典:http://www.apagard.com/oralpedia/basic/details/Vcms4_00000087.html
象牙質は最初はクリーム色がかった色をしていることが多いですが、新陳代謝をすることによって年々色が濃くなって行きます。
エナメル質は半透明色なので、エナメル質が薄く、象牙質の色が濃いとエナメル質から透けて象牙質が見えるようになり、歯が黄ばんでいるように見えるのです。
エナメル質が薄くなる原因としては長年に歯磨きなどが原因です。
また中には遺伝によって生まれつきエナメル質が薄い方や象牙質が濃い方もいます。
ホワイトニングとは
ホワイトニングにおいては通常ですと、過酸化水素(H2O2)を用いて歯を漂白することを指します。
通常だと、H2O2は
H2O2⇒H2O+Oというような反応が起こります。しかし、口内環境に似た状態にすると
H2O2⇒HO2+Hというような反応が起こります。このHO2は非常に不安定かつ協力なため、近くにある着色物質に近づいて吸着する性質があります。
着色物質は鎖状になっており、長く連結されています。そこにHO2が吸着することによって長い鎖状の状態から短い鎖状の状態へと着色物質の分子を分解することができます。
着色物質は鎖状の分子が短くなることによって着色効果が薄まります。その結果、歯を白くすることができるのです。
これらによって歯の表面の着色汚れが分解されます。
通常だと、歯のエナメル質の表面にはエナメル支柱というものがあり、それらは長方形をしていますが、長方形だと外からの光を通してしまうために歯の内部の象牙質が透けて見えてしまい、歯が黄色がかって見えてしまうのです。
ホワイトニング材から発生したHO2はエナメル支柱を長方形から円形にする性質があり、球状になると光が乱反射してマスキング効果を得ることができます。
歯の表面で光が乱反射するために歯の内部の象牙質が透けて見えてしまうというようなことはなく、歯を白く見せることができるのです。
オフィスホワイトニングとホームホワイトニングの違い
<オフィスホワイトニング>
オフィスホワイトニングは歯の表面にホワイトニング効果のある薬剤を塗った上で、光を照射し、歯を白くする方法の一つです。
オフィスホワイトニングは非常に濃度の高いホワイトニング薬剤を使用するため、即効性がありますが、効果の後戻りも早いと言われています。
一度でも効果は実感できますが、自分の理想とする白さにするには何回か通院する必要があります。
全ての施術を歯科医院で行うことができます。
<ホームホワイトニング>
ホームホワイトニングは歯科医師の指導の下に自宅で行うホワイトニング方法のことです。
ホームホワイトニングでは過酸化水素ではなく、過酸化尿素を使用します。オフィスホワイトニングで扱う過酸化水素の濃度がおよそ35%以下のものが一般的であるのに対し、ホームホワイトニングで扱う過酸化水素の濃度はおよそ10%以下です。
過酸化尿素は、使用時に過酸化水素に分解されるため、主成分は同じです。
ホームホワイトニングは低濃度の薬剤を時間をかけて浸透させていく施術方法であるため、オフィスホワイトニングと比較すると後戻りの期間は長く、一年間効果が持続することもあります。
オフィスホワイトニング⇒3~6ヶ月ほど
ホームホワイトニング⇒6~12ヶ月ほど
ホームホワイトニングは患者の歯の形状に合わせて、マウストレーを作成します。その中にホワイトニング材を注入し、マウストレーを歯に装着し、二時間程度時間の経過を待ちます。
期間としては二週間ほど行う必要があります。
ホームホワイトニングがオフィスホワイトニングと比較して
・好きな時間にホワイトニングできる
・通院回数が少ない
などのメリットがありますが、逆に即効性の面では劣っています。
ホワイトニングジェルとは
ホワイトニングジェルとは「歯科医院に通わずに歯のホワイトニングをすることのできるホワイトニング方法」です。
ホワイトニングジェルは歯の表面の着色汚れを除去する効果はありますが、歯のマスキング効果や漂白作用はありません。
なぜなら日本では歯磨き粉などに過酸化尿素も過酸化水素も入れることは薬事法でできないからです。これは安全性上の理由によるものです。
先ほど、ステインがペクリルに吸着することで歯の汚れになることを説明しました。
ステインが歯に付着しているとき、歯に含まれるカルシウムイオンはプラスの電荷、ステインはマイナスの電荷を帯びています。
ホワイトニングジェルに含まれている成分はマイナス電荷の密度が高く、歯のカルシウムイオン(プラス電荷)と強く結びつくことができ、歯の表面の汚れを浮かせて剥がしとることができます。
<ホワイトニング効果のある成分>
・ポリリン酸ナトリウム
・メタリン酸ナトリウム
・ピロリン酸ナトリウム
・ポリアスパラギン酸ナトリウム(PAA)
・リンゴ酸
歯磨き粉について
ほとんどの歯磨き粉の商品には「研磨剤」と呼ばれるような成分が配合されています。研磨剤とは、歯を研磨することで歯の汚れを除去することができるといった成分のことを指します。
研磨剤を使用することによるデメリットはエナメル質を傷つけてしまうことにあります。エナメル質が傷ついてしまうことによって歯の表面が凸凹になってしまい、そこにステインが付着してしまいます。
また、エナメル質が傷つき、削れてしまうことによって、エナメル質の内部にある象牙質が透けて見えてしまいます。象牙質はもともと黄色がかった色をしているため、歯が黄ばんでいるように見えてしまいます。
代表的な研磨剤の成分は以下の通りになっています。
<代表的な研磨剤成分>
・シリカ
・ヒドロキシアパタイト
・ケイ酸
・炭酸カルシウム
・重質炭酸カルシウム
・歯磨用リン酸水素カルシウム
・水酸化アルミニウム
歯磨き粉の他にも、重曹や歯の消しゴムには研磨剤が配合されています。
参考文献
-太田成男(2015)『ウォルター先生の水素のはなし』,産学社
-北村義洋(2011)『汗とニオイはこうして治す!』,レヴィ出版
-五味常明(2011)『気になる口臭・体臭・加齢臭』,旬報社
-坂上俊保(2008)『ホワイトニングの最新知識と治療の受け方』,桐書房
-湘南美容外科「ボトックス・ボツリヌストキシンの多汗症治療について」(最終閲覧日:2017年10月13日)http://www.s-b-c.net/contents/wakiga_3_1.html
-日本橋形成外科「腋臭症特集ページ」(最終閲覧日:2017年10月13日)http://www.nihonbashi-ps.jp/hyperhidrosis.html
-「Ask Dentist」 (最終閲覧日:2017年10月31日)
http://www.ask-dentist.org/know/base/stracture.php
-「JT」(最終閲覧日:2017年10月18日)
https://www.jti.co.jp/tobacco/products/index.html
-「アパガード」(最終閲覧日:2017年10月18日)
http://www.apagard.com/oralpedia/basic/details/Vcms4_00000087.html
-「クリニカ」(最終閲覧日:2017年10月18日)
http://clinica.lion.co.jp/
-「オリオン歯科」 (最終閲覧日:2017年10月18日)
http://www.orion-shiodome.com/2015/07/%E3%80%8C%E7%9D%80%E8%89%B2%E6%80%A7%E9%A3%9F%E5%93%81%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%80%8C%E7%9D%80%E8%89%B2%E6%80%A7%E8%A3%9C%E5%8A%A9%E9%A3%9F%E5%93%81%E3%80%8D%E3%81%AE%E9%A3%9F%E3%81%B9%E5%90%88%E3%82%8F/